使えるものは

新幹線で帰ってくる道すがら、窓から見る夕焼けにずっと見とれ
ていた。名古屋駅に着いたらホッとしたのか、急にお腹が減った。
そうだ、献血に行こう!お菓子は食べ放題だし、ドリンクも飲み放
題。ふだん読まないような雑誌も見られる。
夕焼け、腹減り、献血。なんの脈略もないが、私の中ではこの3
つが一本の線になった。

献血が好きだ。差し上げる側だからなのか、大事に扱ってもらえ
るし、人の役に立つって、なんか気持ちいい。
もうひとつ、献血センターで密かに楽しみにしている光景がある。
それは高校生の姿。道ですれ違ったら「パッパラパー」にしか見え
ないような高校生が、センターには、たいがい一人や二人はいて、
順番待ちをしている。若い人が純粋な奉仕の心で献血に来ることに
「日本の明るい未来」を、ほんの少し感じるのだ。
この日も3人の制服姿の高校生がいた。短いスカートで足組んで、
お菓子を食べながら、献血後のティータイムを楽しんでいた。いい
光景だった。

臓器移植法が改正になって、本人の意思表示がなくても、家族が
承認さえすれば、摘出できるようになった。
私は日頃から思っている。もし自分が脳死になったら、五臓六腑
も、角膜も、手でも足でも、リサイクルしてもらえればいい。もう
痛くないんだし、使えるんなら、ぜーんぶ使ってもらって結構と。
それで火葬場に行くときは身軽になれる。そう思って「健康保険証」
に臓器摘出承認のサインをしてある(親には内緒だが、あの親なら
たぶん賛成してくれると思う)

が、臓器摘出には賛否ある。
「今死んだばかりの人の臓器を、待ってましたと言わんばかりに持
ってかれるのは許せない」
「きれいな体で家族を旅立たせてあげたい」
そんな心情の人も少なくない。
健全な臓器を待つ人はたくさんいるが、提供可能な臓器は、それ
に追いついていない。私の近くにも、骨髄を待っていた人が、かつ
ていた。そういう人が、世界にはおそらくたくさん、たくさんいる
のだろう。

ところで、全然関係ない話だが、タバコが値上がりする。
友人Aは「タバコを減らしてる」と言っていた。身近にこういう
人がいると焦る・・。喫煙所に一緒に行ける仲間が減るのは、寂し
いし、罪悪感がふくらんでいく・・。
が、こうも思う。脳死になって臓器を取り出すためにカラダを開
いてみたら
「肺は真っ黒!その他の臓器もヤニだらけで、使い物になりません
でした」
と、ガッカリされないよう、タバコやめたほうがいいのかな・・。

(2010.09.14 Vol.187)

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